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謝罪を求められた

謝罪を求められた

隠れて続けてきた不倫の関係が相手の配偶者に発覚してしまったとき、その配偶者から電話などで「不倫をしていたことを謝罪しなさい」と求められることがあります。

そうした謝罪を求められたとき、どう対応すべきか迷ってしまいます。

現実の対応では個別の事情、本人の意向を踏まえて判断されますが、ここでは謝罪について注意すべきこと、不倫 示談書作成などについて考えます。

謝罪を求められる

不倫・浮気をしたことについて謝罪を求められる

不倫したことを謝罪しなければならないか?

相手が結婚していることを知っていながら、その相手と性交渉をすれば、その事実を相手の配偶者が知ったとき、その配偶者が悲しむことは誰にも予測できます。

また、不倫となる行為は、法律上では不倫相手の配偶者に精神的な苦痛を与える不法行為に当たります。

不倫をしていた事実が相手の配偶者に発覚したときになって、それまで不倫をして相手の配偶者の気持ち、尊厳を傷つけていた事実にあらためて気付くものです。

そうしたとき、多くの方は、不倫をしてしまったことに対し罪悪感を感じ、自分が傷つけた人に対し謝罪することも必要になると考えます。

ただし、現実に対応をすすめる中では、不倫が発覚したことで生じる経済的な負担への対応についても踏まえます。

不法行為となる不倫をした側は、それによって被害を受けた側に慰謝料を支払う義務を法律上で負うことになるため、自分の過ち、非をすべて認めて謝罪することは慰謝料の支払いに影響します

過ちを犯した側は、その被害を受けた側に対し道義上で謝罪すべきと考えられますが、法律上においては謝罪ではなく慰謝料(損害賠償金)を払って精神上の損害を賠償する対応が求められます。

つまり、被害を受けた側に対し謝らなければならないということは、道義上における対応となります

どこまでの事実を知られているか?

人に対して謝るときに「どのような行為をしたことが原因となって謝るかということ」は大事な要素になります。

例えば、不倫の問題では、不倫を3か月間続けていた場合と3年間続けていた場合では不倫によって受けた被害の大きさは異なります。

謝罪する側が行なった事実と謝罪を受ける側が認識している事実が一致していれば、その事実に相応しい謝り方をすればよいのですが、両者の認識に溝(ズレ)が存在しているときは謝り方を考えなければなりません。

普通には不倫の態様によって精神上の被害の程度(大きさ)は異なると考えられますので、被害者が考えている(自分で評価している)慰謝料の額も違ってきます。

また、不倫の事実が判明したことが原因でその夫婦が離婚することになれば、その結果も慰謝料の額に影響を及ぼします。

短期間のうちに終わった不倫であれば、離婚までしないという判断になることは考えられますが、不倫が長期間にわたり続いていたとなれば、離婚もやむを得ないとの判断にならないとは限りません。

そのため、謝罪を求める側の認識する事実が全体の一部であるならば、謝罪する際にあえて全ての事実を知らせることが必要であるかどうかの判断を求められます。

謝罪するだけで終わるか?

相手から求められた謝罪に応じる大きな理由として、すでに起こっている不倫に関するトラブルを謝罪することによって早く収束させたいことがあります。

謝らないでいることで相手を更に怒らせてしまえば、自分の周囲を巻き込むトラブルに発展してしまう恐れが無いとは言えないからです。

とくに、謝罪する側が堅い仕事に就いていたり、自分も既婚者であり同居する家族がいる場合は穏便に問題を片づけたいと強く望む方が多いと言えます。

そうしたことから、不倫を認めて相手に謝るということは、そのことでトラブルを収束させることが最大の目的となります。

そうした目的を踏まえて、相手への謝り方、謝るタイミングを判断します。

書面上の対応について

個人の間における謝罪は、普通には口頭で行われてます。

不倫のトラブルが起きたときも、当事者同士が解決に向けて話し合う場において口頭で謝罪が行われることが見られます。

しかし、不倫の被害を受けた側が書面による謝罪を求めること、いわゆる「謝罪文」を作成して渡すように求めることもあります。

また、さらに追加的な要望として、不倫となる行為の行なわれた経緯、事実のすべてを謝罪文に記載するように言われることがあります。

こうした作成した書面は、不倫の事実、経緯がつまびらかに記録として残されることになり、それを作る側には精神上で大きな負担となります。

作成した書面が第三者に流出しないか、また、そうした形で謝罪を先行させることで、その後に高額な慰謝料を請求されるのではないか、そうした心配もあります

謝罪を行う側は謝罪文を渡したタイミングで不倫のトラブルを終わりにさせたいと考えますので、すべてが決着することを求めるものです。

追加の要求が行われる心配

口頭または書面で謝罪をしても、それによってすべてが終わるとは限りません。

むしろ、そこから交渉がスタートすることになる可能性が高いと言えます

相手としては、慰謝料の支払い交渉を始めるにあたり、まずは本人に不倫の事実を認めさせようとします。

そして、慰謝料の支払いのほかにも、何らかの要求を行うことがあります。

自分として受け容れられる範囲で交渉がまとまればよいのですが、そうならなかったときに書面で謝罪をしていると、相手はそれを利用することが想定されます

謝罪は一方から行われるものですから、それで相手が許すとは限らず、「素直に事実を認めて謝罪をすれば、許してもらえるかもしれない」という考えでは甘いと言えます。

示談書による決着の確認

相手からの請求を止めるためには、「今回の不倫問題については解決したので、他にはお金など一切の請求をしません」という相手からの確約を得ることが必要です。

こうした確約を口頭の確認だけで済ますことは手続きとして不完全であり、当事者間の確約については示談書と言われる書面に作成しておきます。

確約したことについて示談書を取り交わすと、そこで当事者双方の権利関係が確定し、不倫のトラブルは法律上で収束することになります。

不倫問題の示談書(公正証書)は当事務所でも作成サポートを提供していますので、必要となる方はサポートをご利用ください。なお、サポートは有償になります。

むやみに書面にサインしない

不倫問題の対応において当事者と話し合う過程で不倫の事実を認め謝ると、相手からさらっと書面を見せられて「それでは、これにサインしてください」と言われ、内容をよく確認しないでサインしてしまう方があります

本来であれば、双方で記載されている内容をしっかり確認したうえで、書面2通にサインして、双方が1通ずつ書面を取得することが基本となります。

しかし、謝罪する側に甘さがあると見抜いた相手は、謝罪する側だけにサインを求め、それが済むと書面を持って行ってしまったとの話を相談者から聞くこともあります。

そうした手続きをしてしまうと、後になってから自分が何を認めて何を約束したのかが判らず、相手と交渉をすすめるときに困ったことになります

 

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